ITモダナイゼーションを加速させる8つの戦略

新しいテクノロジーは、最先端から主流へと、ますます速いペースで移行している。ジェネレーティブAIが前衛的なものからユビキタスなものになるまでのスピードを考えてみよう。2年弱というのは記録的かもしれない。 このような偉業により、CIOは単に近代化するだけでなく、より速く近代化することで、新たなテクノロジーをサポートできるインフラと、メンテナンス・モードに陥っていないチームを持つことで、新たな機会が発生したときにそれを逃さないようにする、というプレッシャーを強めている。 TEKsystemsグローバル・サービスのシニア・バイス・プレジデントであるリカルド・マダン氏は、「より早く、より良く、より速く物事を進めることができる者が市場シェアを獲得できるため、迅速に行動しなければならないという競争上のプレッシャーが非常に大きい」と語る。 これは誇張ではない。TEKsystemsの「2024 State of Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーションの現状)」レポートによると、デジタルリーダーに分類される組織の53%は、デジタル投資が期待されるROIを達成できると確信している。これとは対照的に、DX後発企業に分類される企業のうち、そのように回答しているのは27%に過ぎない。 迅速な対応を求めるプレッシャーが高まっているにもかかわらず、ほとんどの近代化プロジェクトは、遅々として進まない。最近の調査では、アプリケーションの近代化には平均16カ月を要した。また、「2024 State of the CIO Survey」によると、インフラストラクチャとアプリケーションの近代化は、今年のCIOの予算増加の主な理由として挙げられており、このペースでは十分な速さとは言えない。 幸いなことに、これらのプロジェクトのスケジュールを短縮する方法はある。ここでは、ベテランのITリーダーやアドバイザーが、ITの近代化を加速させる8つの戦略を提案する。 1. イベントではなくプロセスを考える モダナイゼーションは依然としてCIOのToDoリストの常連項目であるため、このタスクはIT部門のスケジュールの標準的な一部であるべきだ。 「うまくいっている企業は、モダナイゼーションをイベントではなくプロセスにしている」とアドバイザリー会社BlueHour Technologyの社長兼CEO、ロバート・ドボラック氏は言う。「IT部門内で継続的に機能させる必要がある。」 ドボラックは、IT環境を投資ポートフォリオのように管理し、コンポーネントを「買い」「ホールド」「売り」のいずれかにランク付けしているCIOと仕事をした。「売り」と判断されたものはまず近代化の対象となり、「買い」と「ホールド」に分類されたものはビジネスを推進するもの、あるいはビジネスの基盤となるものであった。ドヴォラックは、このアプローチは斬新かもしれないが、継続的な評価、継続的な近代化、合理化のための効果的なプロセスを生み出したと言う。 2. 意思決定の指針となるフレームワークを作る 2021年にIBMから分離独立したITサービス管理会社KyndrylでCIOを務めるマイケル・ブラッドショーは、重要なITの意思決定を促進するために、5つの中核となる指針を中心としたフレームワークを開発した。 その原則とは、データ中心、プラットフォーム・ファースト、クラウドベース、自動化主導、ゼロ・トラスト(最初からすべてが安全であること)である。 ブラッドショー氏は「この原則は、私たちがどのように意思決定を行うかの基準となり、私たちを導いてくれるため、迅速な意思決定に役立ちます」と説明する。「原則の概要を示すこのフレームワークを持つことで、私たちはプロセスに埋没することなく、原則に基づいた決断を下すことに集中し続けることができる。」 このフレームワークは、ポジション・ペーパーのような役割を果たすと彼は言う。 ブラッドショー氏は、このフレームワークがIT部門の迅速な動きにどのように役立っているかを説明するために、彼のチームが引き継いだ基幹業務システムの近代化にどのように取り組んだかを挙げている。従来、このような取り組みには、ビジネスプロセス分析、フィットギャップ分析、プロセスのリエンジニアリングが必要だったが、これらすべてに時間がかかる。しかし、フレームワーク、特にプラットフォーム・ファーストの原則に導かれ、IT部門は、ソフトウェアには優れたプロセスが付属しており、IT部門が事業部門と連携して必要に応じてワークフローを微調整できることを知っていたため、2つの新しい最新プラットフォームの選択とそのプロセスの採用に直行した。 ブラッドショー氏は、IT部門がWorkdayとSAPの両方を67カ国、約90,000人の従業員に導入・展開したことで、従来のアプローチよりもはるかに速いペースで進めることができたと語る。 3. 価値によって優先順位を決める Guidehouse Digitalのパートナーであるブライアン・レイノルズは、「モダナイゼーションは、それ自体が目的であっては良い結果をもたらさないし、スピードアップを可能にするものでもない」と言う。 「努力は必ずしも進歩ではないことを認識することが重要だ。目的意識のないテクノロジーの近代化は、せいぜい目新しさを生み出すだけだ。正しいモダナイゼーションの取り組みに集中することが、モダナイゼーションの成功を加速する鍵だ」とレイノルズは説明する。 彼はこう続ける。「私たちが一緒に仕事をしているCIOは、組織のミッション、利害関係者、経済性、文化に貢献しない近代化には興味がない。むしろ、最も成功しているCIOは、時間をかけて耳を傾け、問題の経験や課題がどこにあるかを理解することの重要性を認識している。CIOは、このような満たされていないニーズに的を絞って近代化の取り組みを行う。これにより、多くの場合、最良の近代化ソリューションだけでなく、最もシンプルな近代化ソリューションがもたらされる。」 4. モダナイゼーションの基盤に集中する TEKsystemsのマダン氏によると、どのようなモダナイゼーションの取り組みがビジネス価値を高めるかを的確に判断し、迅速に進めるために必要なリソースを集めることができるCIOは、そのような取り組みのための優れた基盤の上に立っているという。 その土台を構成する要素の1つは、ITとビジネスの整合性であり、この整合性が取れていないCIOは、必要のない、あるいは価値をもたらさない近代化イニシアチブを追い求め、時間を浪費する可能性があると同氏は説明する。 2つ目は、クラウド・コンピューティングの導入だ。 もう1つの重要な要素は、プロジェクトがビジネスにもたらす価値と、各現代化プロジェクトが他の現代化イニシアチブをいかに加速させるかに基づいて、現代化のニーズをスコア化する能力である、とマダン氏は言う。ある分野の相互依存を解消し、複雑さを解消する近代化プロジェクトは、他の分野の近代化をより簡単かつ迅速にする。 5. アジャイル原則を適用して短期間で成果を上げる レガシー技術はモノリシックである可能性があるが、モダナイゼーションへのアプローチが、無機質なオール・オア・ナッシングの提案である必要はない。その代わりに専門家は、可能な限り迅速な勝利と漸進的な進歩のためにアジャイル原則を活用することを勧めている。 CIOは「小さな物語」を探し、継続的インテグレーションと継続的デリバリー (CI/CD)を導入することで、モノリスの近代化作業に速度を加えることができる、とレイノルド氏は言う。 アジャイル・アプローチを採用し、大きなプロジェクトを小さな成果物に分割することは、ビジネスがより早く利益とROIを見出すことを意味する、とGuidehouseのパートナーであるアリジート・ロイ氏は言う。 彼はこう付け加える:。「CIOは、モダナイゼーションを、機能やサービスを構築するための漸進的なスプリントを行うマラソンと考えるべきだ」 6. 構築ではなく購入の考え方を採用する IT部門は、すべてのソフトウェアを自社で構築していた初期の時代から、長い道のりを歩んできた。今日のCIOは、ソフトウェアやサービスの大半を購入し、市場においてビジネスを真に差別化する機能、機能、プログラムのみを構築する方が良いことを知っている。 しかし、キンドリルのブラッドショー氏は、CIOの中には「差別化要因」のカテゴリーに多くのビジネス・プロセスを入れすぎて、彼らや彼らのチームが必要以上にコードを書き、その結果、より多くの時間を費やしているケースが見られるという。 「差別化要因の定義が広すぎるため、すべてを書くべきだと考えている企業が存在する。しかし、CIOとしては、アプリを書くようなIT組織は必要ない。必要なのは、データを管理し、ビジネス成果を上げるためのOEMプラットフォーム・ベースのオーケストレーションなのだ」と彼は言う。 7. 素早い学習者を見極める…

Is the power of people skills enough to keep gen AI in check?

Higher-level languages, automation, low-code and no-code development platforms, and better programming environments have been gradually reducing the need for IT staff to perform low-level, routine tasks for years so they can take on more innovative challenges. With generative AI, this trend is accelerating dramatically, and technology professionals will have to diversify their skillsets faster than…

Inferencing holds the clues to AI puzzles

Inferencing has emerged as among the most exciting aspects of generative AI large language models (LLMs). A quick explainer: In AI inferencing, organizations take a LLM that is pretrained to recognize relationships in large datasets and generate new content based on input, such as text or images. Crunching mathematical calculations, the model then makes predictions…

Dairyland powers up for a generative AI edge

A Midwestern utility cooperative might not be the first place you’d look for leading-edge implementations of emerging technologies, but thanks to the leadership of CIO Nate Melby, Dairyland Power Cooperative has become an unlikely pioneer in generative AI, churning out large language models (LLMs) that not only automate document summarization but also help manage power…

「スマート養殖」で漁業を変えるくら寿司のAI戦略

くら寿司では日本国内の天然魚を有効活用するために「天然魚プロジェクト」を2010年からスタート。2015年には漁港でとれた魚をすべて買い取る「一船買い」契約を福井県鷹巣漁協と締結、その後も2017年には愛知県魚島、2019年には香川県小田漁港の漁業者へと「一船買い」を拡大してきた。 しかし「一船買い」では未成魚と呼ばれる子供の魚も買い取らなければならず、その有効活用は至難の業だ。 未成魚は無料同然で市場で売買するか、海に戻してもその多くは鳥や魚のえさになってしまう。 くら寿司ではこうした未成魚をすり身にして、ねり天やコロッケなどの材料にするなどの方法で有効活用してきたが、用途は限られる。 そこで考え出されたのが「一船買い」の定置網にかかった未成魚を人工の生けすですしネタにできるサイズにまで育て、最終的には商品価値の高い成魚として出荷する「畜養」だ。 プロジェクト名は「魚育プロジェクト」。限られた水産資源を守るために2019年6月からスタート、大手回転寿司チェーンでは初めての取り組みとなった。 このプロジェクトでは愛媛県魚島と香川県小田漁港で獲れたハマチやマダイの未成魚を養殖用の生けすに入れて、養殖魚用の餌を与えて育てた。最初は見慣れない餌をなかなか食べようとしない未成魚だが、同じ生けすに“先生役”として養殖魚を混ぜることで、餌を食べる様子を目にした未成魚たちが次第に餌を食べるようになる。 こうした未成魚は1年から1年半ほどかけて育て、寿司ネタとして出荷された。 人手不足と後継者難に苦しむ水産業界 くら寿司は「魚育プロジェクト」などを通して自らも漁業に深く関与してきたことから、水産業界が抱える問題を一取引業者ではなく、当事者として直接目の当たりにしていくことになる。 ここから見えてきたのは水産業界の人手不足や後継者難の問題だった。 農林水産省が発表している「将来の漁業就業者数見通し」によると、日本の漁業者数は、2017年までに約15万人にまで減少、50年後の2068年にはわずか約7万人にまで減少する、と予測されている。 「減少する理由は、不安定な収入、重労働、高齢化、後継者問題など様々な理由が挙げられますが、我々寿司業界にとって漁業従事者がいなくなることは、会社の存続にも影響します」(広報部、岡本愛理氏) そこで、くら寿司では安価で良質な水産物を安定的に供給していくため、漁業従事者とともに、「スマート養殖」に取り組むことになった。 くら寿司では2021年から「スマート養殖」を開始した。 「スマート養殖による委託養殖をマダイ、ハマチ、スマガツオ、みかんサーモンで行い、すでに販売しています。AI を活用したマダイのスマート養殖は大手外食チェーン初、ハマチのスマート養殖は日本で初めて成功しました」(岡本氏) ここでくら寿司が進めるスマート養殖について簡単に説明しておこう。 スマート給餌機を使った「スマート養殖」を漁業者に提供して養殖を任せる「委託養殖」。使用しているスマート給餌機は、水産関連のICT開発を進めるスタートアップのウミトロンが開発したもので、AI が魚の食欲を画像解析することで、給餌の量やタイミングを最適化することができる。社会情勢の影響で、価格高騰が続くエサ代や漁船の燃料費の削減、CO2排出量の削減や環境負荷の低減が期待されている。 くら寿司 また、スマートフォンを活用することで、遠隔地から給餌の様子が確認でき、従来よりも給 餌の効率化、作業量の低減が図れる。 餌をあげるタイミングや量の調整では苦労も くら寿司は2021年11月、「KURAおさかなファーム」を設立した。養殖から販売までのサービスを一貫して漁業者たちに提供するためだ。 「KURAおさかなファームは養殖用の稚魚やスマート給餌機を養殖事業者に提供の上、スマー ト養殖を委託。寿司ネタにできる大きさまで魚を育てていただき、その魚を全量買い取ることで、『クオリティの高い商品の安定供給』と『生産者の方々のリスク低減と収入の安定化』 の両立にも繋げることができると考えています」(岡本氏) しかしAI養殖が簡単に誕生したわけではない。たとえばハマチの養殖はこれまでベテラン漁師の勘に支えられていた。中でも重要なのがえさを与えるタイミングと量だ。魚種によって食べる量や頻度が違っている。 「AIを活用したハマチの養殖というのがこれまで前例がなく、スマート給餌機を使うのも初の試みだったので、エサを食べてくれるのか、当初は心配しました」(岡本氏) 魚種ごとに給仕プログラムを作成していく作業は非常に苦労したという。中でも「餌を上げ続ければいいのか」「ここでやめた方がいいのか」といった微調整は非常に難しかった。 「餌をあげるタイミングやどの程度の餌が消費されているのかといったデータは職人さんたちに送られ、映像もストックしているものを遠隔操作で見ることができます。そのようにして調整してきました」(広報部マネージャー、辻明宏氏) くら寿司 最終的には通常の養殖と遜色のないものができたといい、コスト削減と作業の軽減にもつながっている。ちなみに養殖のコストのうち7、8割がえさ代だといわれているが、ここに大きなメスをいれたことが、大きな成果につながっている。 「AI で解析した『魚の食欲』に応じて給餌することで、従来と比較し、マダイもハマチも餌代を1割削減できました。さらに、スマート給餌機の活用により、毎日生けすに行くという作業が 2~3 日に 1 回でよくなり、養殖事業者の作業効率向上や、燃料代の削減にも繋がっています」(岡本氏) 2022年3月11日にはスマート養殖初となる「【愛媛県産】AI桜鯛(一貫)」を販売した。 2024年には、マダイもハマチもくら寿司で扱う総量の3分の1をそれぞれスマート養殖で賄う計画だ。 ガートナージャパンのディスティングイッシュト・バイス・プレジデント・アナリストの亦賀忠明(またが ただあき)氏は次のように語っている。 「AIがどこに使えるのか、それを導入したら本当に儲かるのか、出来るのか、コストはさがるのか、といったような議論だけをしているところは、永遠に何もできないでしょう。そうではなく、きちんとした人材と組織、またリーダーシップをどう用意していくかが全ての企業に問われています。いつまでもこうした議論をしている企業は、今後、存亡リスクが高まっていきます」 Analytics Read More from This Article: 「スマート養殖」で漁業を変えるくら寿司のAI戦略 Source:…