クラウドへの移行とデジタル変革への緊急性を感じ、SAP ユーザーは転換期を迎えようとしている。スキル不足とデータの制約が成果に影響を及ぼす可能性がある。 最大のプレッシャーの要因となっているのは、2027年にSAP Business Suite 7のメインストリーム保守が終了し、後継製品であるSAP S/4HANAへの移行に2年間の猶予が与えられることと、AIなどの新技術を取り入れたいという要望の2つである。これは、今年初めに米国SAPユーザーグループが発表した「2024年SAP顧客調査の動向」で大きく取り上げられた。 「生成型AIの出現や、GoogleプラットフォームのGemini、SAPのJoule、MicrosoftのChatGPT、Copilotなどを見てみると、すべてはこれらの新しいAIモデルと新興AIモデルに関わっている」と、ASUGのCEO兼チーフコミュニティチャンピオンであるGeoff Scott氏は、ASUGのリサーチディレクターマリッサ・ギルバート氏とのポッドキャストの対談で述べた。 「彼らが飽くことのない欲求を抱いているのは、データだ。これらのモデルに長期にわたって優れたパフォーマンスを発揮させたいのであれば、デジタルトランスフォーメーションが必要だ。 そして、SAP 顧客のそうした意欲は高まっており、ASUG 会員の48%が S/4HANA への移行を最優先事項として挙げている。2023年の42%から増加している。SAP の S/4HANA ERP ソフトウェアは2015年に初めて発売され、2024年現在、ASUG 会員の47%がすでに使用しているか、導入プロセスを開始している。また、調査では、69% が 2 年以内に S/4HANA を導入する予定であることがわかった。 ASUG 会員が S/4HANA に移行する際、オンプレミス ERP 環境からクラウド環境への移行も同時に実施するケースが多い。2024 年までに、ASUG 調査回答者の 62% が S/4HANA をクラウドで実行中または実行予定と回答した。内訳は、プライベートクラウドが 40%、マネージドクラウドが 16%、パブリッククラウドが 6% であった。 「ASUG会員の57%は、クラウドへの移行が自社のデジタル変革の取り組みに大きな影響を与えると引き続き考えている」とギルバート氏は述べ、「データ分析とダッシュボードが62%でトップドライバーとしてこれに続いている」と付け加えた。 移行に消極的な会員は、時代遅れで高度にカスタマイズされたレガシーシステムに苦労していると語っている。 「SAPを長年利用してきた多くの人にとって、長年にわたるカスタマイズをすべて取り除くのは、少し気が引けると感じるかもしれません」とスコット氏は言う。「自社のビジネスプロセスが本当に将来の環境に合わせられているかどうか、どうやって確認するのでしょうか? そのような人にとっては、変化の必要性が最も高いと言えるでしょうし、変化を最も困難に感じるのもそのような人たちでしょう」 一方、ドイツ、オーストリア、スイスの DSAG コミュニティの SAP 顧客は、SAP の S/4HANA クラウド戦略に批判的であり、肯定的な意見を述べたのはわずか 13% に過ぎず、否定的な意見を述べた人はほぼ半数に上ったと、DSAG…