오케스트로 “AI 시대 클라우드, 자동화·자율화 역량이 관건···‘스코어’로 해법 제시”

오케스트로는 AI·클라우드 소프트웨어 전문 기업으로, 2018년 설립 이후 빠른 성장세를 보이며 2023년에는 1,300억 원 규모의 시리즈B 투자를 유치한 바 있다. 사명 ‘오케스트로’는 ‘오케스트라’와 ‘마에스트로’의 합성어로, 다양한 기술이 하나의 목표를 향해 조화를 이루도록 설계하고 운영하는 힘, 즉 오케스트레이션 기술을 전문적으로 구현한다는 의미를 담고 있다. 김영광 CTO는 “많은 솔루션 기업이 오케스트레이션을 단순히 방향성 차원에서 언급하는 데 그쳤지만,…

“사일로 AI를 넘어” 수평 수직 인텔리전스로 진정한 스마트 기업을 만드는 방법

기업이 디지털 전환의 차세대 변화를 수용하면서 점점 분명해지는 사실이 있다. AI는 단순히 기존 기술 위에 덧입히는 기술이 아니라 업무하는 방식, 시스템 간 상호작용, 그리고 의사결정 구조 모두를 근본부터 바꾸는 기반의 변화라는 사실이다. AI의 잠재력을 제대로 활용하려면, 기업은 고립된 도입이나 사일로화된 사용례를 넘어설 필요가 있다. 수직적인 시스템 특화 AI와 기업 전반을 아우르는 수평적 AI를 통합하는 접근…

계속되는 AI 벤더의 요금제 실험, CIO 비용 불확실성 키운다

업계 전문가들에 따르면 최근 AI 벤더들이 가격 책정 방식과 모델을 계속 실험하고 있다. 이로 인해 기술을 도입하는 기업 CIO들에게는 비용 불확실성을 초래하고 있다. 빌링 소프트웨어 벤더 차지비(Chargebee)의 시장 진출 담당 사장인 브라이언 클라크는 많은 AI 벤더가 구독형 요금제에 사용량 기반이나 성과 기반 과금제를 결합한 하이브리드 가격 모델로 전환했지만, 이러한 전략이 아직 확정된 것은 아니라고 말했다.…

칼럼 | 멈춰야 생산성이 회복된다··· IT 리더에게 필요한 ‘전략적 숨고르기’ 방법

몇 년 전 포춘 500대 기업에서 IT 부사장으로 일할 때, 필자는 성공의 역설에 빠져 있었다. 높은 직위와 유능한 팀, 어떤 위기든 해결할 수 있다는 명성을 얻었지만, 현실은 끝없는 회의와 이메일, 긴급 요청의 연속이었다. 하루 일과는 오전 6시부터 자정까지 이어졌고, 전략적으로 사고할 여유조차 없이 불을 끄듯 문제를 처리하고 즉흥적인 결정을 내리는 데 대부분의 시간을 보냈다. 그러던…

IBM, 동아대병원에 의료 IT 인프라 구축 지원··· “시스템 사용률 50% 이하로 낮춰”

동아대병원은 의료 서비스 품질과 고객 만족을 극대화하기 위해 최신 IT 인프라 도입에 심혈을 기울였다. IBM은 동아대병원이 최신 IBM 파워를 도입함으로써, 시스템 성능과 안정성을 획기적으로 향상시켰다고 설명했다. IBM 파워 서버는 고성능 컴퓨팅 환경을 제공하며, 안정성과 보안성에 강점을 갖춘 플랫폼으로, 의료 기관의 까다로운 요구를 충족시키기에 최적화된 솔루션을 제공한다. 동아대병원은 기존 시스템 사용률이 90% 이상에 달했던 것에 비해, IBM 파워를 활용한 새로운 시스템은 사용률을 50% 이하로 낮추는 데 성공했다. 이는 환자…

Le regole dei CIO per gestire operativamente il team e prevenire problemi

Il ruolo del Chief Information Officer oggi è così trasformato (e trasformativo) che non stupisce che stia sconfinando anche nella gestione operativa. In alcuni casi le due responsabilità si uniscono, come per Davide Alberici, Direttore IT e COO di Pbs Holding (distribuzione prodotti per ufficio), o di Giuseppe Ridulfo, Vice Responsabile Dipartimento Organizzazione e Responsabile…

알리바바, 미국 수출 규제 속 AI 추론 칩 개발 추진

알리바바가 추론 작업을 위해 설계된 새로운 AI 칩을 개발 중인 것으로 전해졌다. 해당 칩은 현재 시험 단계에 있으며, 중국 내에서 생산될 예정이라고 보도됐다. 알리바바는 아직 공정 노드, 전력 효율, 성능 벤치마크 등 구체적인 사양을 공개하지 않았다. 다만 29일 월스트리트저널(WSJ) 보도에 따르면, 이전에 특정 애플리케이션과 워크로드에 맞춰 제작된 칩과 달리, 이번 신제품은 추론 작업을 처리할 수…

日本のガバメントクラウドのこれまでとこれから

2025年度末までに、全国1,741すべての地方自治体は、住民基本台帳や税務、社会保障など20の基幹業務システムを国の定める標準に準拠したシステムへ移行することが法律で義務付けられている。ガバメントクラウドの活用は、この標準準拠システムが稼働する基盤の有力な選択肢であり、政策上の原則として利用が推奨されている。これはITインフラの刷新に留まらず、行政サービスの効率化と品質向上を目指す取り組みである。本稿では、ガバメントクラウド構想の経緯、現状の課題、そして今後の展望について解説する。

ガバメントクラウド構想の黎明期:デジタル国家への道筋

ガバメントクラウド構想の源流は、2016年12月に制定された「官民データ活用推進基本法」にある。この法律によって、政府のデジタル化を推進するための法的基盤が確立され、データの活用が国家的な責務として位置づけられた。翌2017年には「デジタル・ガバメント推進方針」が策定され、行政サービスは利用者である国民を中心に設計されるべきだという基本理念が明確化された。

この流れを具体化したのが、2018年1月策定の「デジタル・ガバメント実行計画」である。この計画で、政府が情報システムを整備する際にはクラウドサービスの利用を第一候補とする「クラウド・バイ・デフォルト原則」が採用された。これは、従来の自前主義(オンプレミス)から、民間の技術を積極的に活用する方針への転換点となった。

しかし、機密情報を扱う政府システムを民間のクラウドサービスに移行するには、安全性を担保する仕組みが不可欠であった。この課題に対応するため、2018年6月の「未来投資戦略2018」と「サイバーセキュリティ戦略」に基づき、クラウドサービスのセキュリティ評価制度の開発が開始された。ISMAP(Information system Security Management and Assessment Program)は、内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)・デジタル庁・総務省・経済産業省の4府省庁共管の制度として整備され、2020年6月に開始された。これは、政府が求めるセキュリティ要件を満たすクラウドサービスを評価・登録する制度であり、ガバメントクラウドの信頼性を支える前提条件となった。

政府全体のクラウド移行は世界的な潮流であり、米国や英国、シンガポールなどが先行している。米国のFedRAMPや英国のG-Cloudといった政府横断的なクラウド調達・セキュリティの枠組みは、ベンダーの多様化や調達の透明性向上に貢献したと評価されている。

デジタル庁の始動

政策基盤とセキュリティフレームワークが整い、構想は実行段階へ移行した。2020年12月改定の「デジタル・ガバメント実行計画」で「(仮称)Gov-Cloud」の概念が明記され、デジタル庁の中核的な役割として、その開発・運用が明確に位置づけられた。

この構想に法的な枠組みと具体的な目標を与えたのが、2021年5月に成立した「地方公共団体情報システムの標準化に関する法律」である。この法律により、全国の地方自治体は、20の基幹業務システムを国が定める標準仕様に準拠させることが義務付けられた。2021年9月1日のデジタル庁発足と、同法の施行により、プロジェクトは本格的に推進されることとなった。

デジタル庁は、先行実証プロジェクトに着手した。2021年10月26日、デジタル庁は先行事業およびデジタル庁Webサイト向けの「ガバメント・クラウド整備のための対象クラウドサービス」としてAWSとGoogle Cloudを採択。同年、神戸市、盛岡市など8件(11団体)が先行事業の検証対象となった。この実証では、非機能要件の標準化、システム移行方法論の確立、費用対効果の分析、セキュリティの実装といった課題が検証され、後続の自治体が移行を検討する上での知見が蓄積された。

その後、2022年10月にMicrosoft AzureとOracle Cloud Infrastructure(OCI)が対象サービスに追加。2023年11月にはさくらインターネットの「さくらのクラウド」が、2025年度末までに技術要件を満たすことを条件に認定され、利用者の選択肢は拡大した。また、ガバメントクラウドの利用を支援するポータル「GCAS(Government Cloud Assistant Service)」も2023年以降に整備・公開され、利用者向けに技術マニュアルなどを提示している。

移行の現状:中央省庁と地方自治体の進捗と課題

現在、ガバメントクラウドへの移行は進められている。中央省庁では、1,000を超える政府情報システムの移行が計画されている。一方、地方自治体においては、2025年度末の期限に向けて、先行実証に続きさらに15団体が詳細な検証に参加するなど、取り組みが本格化している。

しかし、その過程で課題も明らかになっている。最も大きな問題はコストである。先行実証に参加した自治体の中から、移行後の運用コスト増を懸念する声が上がった。中核市市長会の調査などでは、平均で2倍強、最大で5〜6倍程度になるとの試算が公表されている。特に、これまで独自にクラウド化を進め、効率的な共同利用型システムを構築していた自治体ほど、コスト増が顕著になるという状況が指摘されている。この問題は、プロジェクトにおける重要な論点となっている。

プロジェクトを支える技術基盤とセキュリティ

ガバメントクラウドの技術基盤は、柔軟性と拡張性を確保するため、複数のクラウドサービスを組み合わせるマルチクラウドアーキテクチャとして設計されている。認定プロバイダーには、国内データセンターの利用やデータの国内保存など、厳格な要件が課される。例えば、令和5年度の調達では305項目の技術要件が示された。市場ではAWSの採用比率が高い状況(2025年5月時点で移行済みシステムの約97%との報道もある)だが、特定のベンダーへの依存はリスクともなり得るため、マルチクラウド戦略の推進が今後の課題となる。

そして、この技術基盤の信頼性を担保するのが、前述のISMAP認証だ。ISO/IEC 20001や米国のNIST SP800-53といった国際標準に準拠し、第三者監査を経るこの制度は、政府調達に求められるセキュリティ水準を確保するための仕組みである。

2025年度末を見据えたロードマップと将来展望

プロジェクトの主要な目標は、2025年度末までに全地方自治体の20基幹業務システムの標準準拠システムへの移行を完了させることである。自治体のコスト増という課題に対しては、国が利用料を一括で支払い、大口割引によってコスト低減を図る制度の整備などが進められている。

ガバメントクラウドが目指すのは、インフラの近代化やコスト削減に留まらない。AIや機械学習、高度なデータ分析といった技術を行政サービスに統合し、政策立案の精度を高め、サービスを最適化することも目的としている。災害時の迅速な復旧や、平時の行政手続きの効率化も期待される。ガバメントクラウドは、こうした将来の行政サービスを実現するための基盤として位置づけられている。

乗り越えるべき壁:コスト、技術、そしてデータ主権

目標の実現に向けては、克服すべき三つの主要な課題が存在する。

第一の課題は、前述したコスト増加問題である。これに対しては、政府によるボリュームディスカウント交渉の強化や、自治体による共同調達の推進など、スケールメリットを追求する取り組みが求められる。

第二の課題は、技術的な複雑性とスキル不足である。高度なクラウド技術を扱える専門人材は官民ともに不足しており、期限が迫る中で、育成が急務となっている。デジタル庁による専門家の採用や、民間企業と連携したトレーニングプログラムの提供がその解決策として進められている。

そして第三の課題が、データ主権と経済安全保障の問題である。日本の場合、今のところグローバルなIT企業と国内プロバイダーを統合したハイブリッドなエコシステムを構築しようとしている。米国のクラウド法(CLOUD Act)など、事業者が管理するデータに対する外国捜査当局のアクセスに関する法制度について懸念が指摘されている。このため、ガバメントクラウドではデータの国内保管や、アクセス要求があった場合の通知・異議申し立てといった要件整備が図られている。経済効率性と国家の主権をいかに両立させるか、これは高度な戦略的判断が求められる課題である。


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MLBも注目するボリュメトリックビデオ、新たな映像体験を開拓するキヤノン:スポーツ観戦から文化継承まで──3D映像が変える“体験のデジタル化”

MLB開幕戦で世界が驚いた「自由視点映像」 3月のMLB開幕シリーズでのロサンゼルス・ドジャース対シカゴ・カブス戦、大谷翔平選手のホームランのリプレイで使われた自由視点映像を米メディア「FOX Sports」がXで紹介するや、ソーシャルで話題になった。自由視点映像により、大谷選手のバットにボールが当たったところから、カメラはピッチャー後ろからゆっくりと大谷選手の横へとアングルを移し、最終的にホームベース側から打球を見送る視点に切り替わった。 開幕戦ではまた、カブス対巨人で外野選手のファインプレーのリプレイも注目を集めた。リプレイの自由視点映像はファインプレーの動きを選手の後ろから追った後、中継では映っていない選手のガッツポーズもとらえていた。 この自由視点映像技術を実現しているのは「ボリュメトリックビデオ」という映像技術だ。東京ドームでは2023年よりキヤノン製のボリュメトリックビデオシステムを本格的に導入しており、現在は読売ジャイアンツのホームゲームで活用されている。日本テレビの中継でもお馴染みだが、米国の視聴者の目には新鮮に映ったようだ。 カメラ125台で捉えた画像から立体映像を構築 ボリュメトリックビデオは、空間を多数のカメラで撮影し、2次元の撮影データから3次元データを作り出す技術だ。体積(=volume)情報を取得することから、Volumetric(ボリュメトリック)と言われる。あらゆる方向から撮影することで、空間を丸ごと記録蓄積することが可能になる。その後、色やテクスチャを貼りレンダリング処理を行う。人物など一部のデータは背景を切り分けて処理する。 複数のカメラ映像を瞬時に切り替えるという手法はすでに用いられているが、ボリュメトリックビデオは撮影した空間全体を3Dデータ化するため、好きなアングルから映像として再現できる。先述の自由視点映像のほか、3Dのフィギュアなどのアウトプットが可能になる。 東京ドームには現在、上部のキャットウォークやバックスクリーン下部などに125台の4Kカメラが設置されている。カメラは「EOS C300 Mark II」を改造したもので、60fpsでの撮影が可能だ。2022年に87台でスタートしたが、毎年台数を増やしてきた。 重要なのは、これら125台のカメラが正確に同期していることだ。カメラのカスタマイズにより1マイクロ秒以下の精度で同期撮影を実現している。これについて、キヤノン イメージング事業本部 IMG第三事業部 IMG32事業推進センター所長 藤井賢一氏は、「同時撮影は重要なポイント。マイクロ秒以下でカメラが同期して、一斉にシャッターを切っています」と説明する。 3秒へのこだわりの背景ーー実用化の転機となったラグビーW杯 ボリュメトリックビデオ生成のための一連の処理を、キヤノンはわずか3秒で完了させる。 この3秒のこだわりは、この技術を開発する過程で得た。これまでの歴史を紐解くと、キヤノンがボリュメトリックビデオ技術の開発を開始したのは2016年。「我々は静止画、一眼カメラを強みとしてきたが、これからは映像、それも3Dにも拡大しようという思いで開発がスタートした」と藤井氏。そこから、「これまでの中継では見られなかったようなシーンを含めて、自分の好きな視点で映像を見られるようにしたい」とアイディアが膨らんでいった。 そこで社内のカメラ、ハードウェア、画像処理、ネットワークの専門家を集めてプロジェクトチームを結成。初期はサッカーに着目して実験撮影を重ねた。藤井氏と同じくIMG32事業推進センターに所属する部長の神谷泰次氏は、「リアルタイム処理ができないため、撮ったデータを持ち帰り実験室で時間をかけて3Dのデータ化していました」と振り返る。 左がキヤノン イメージング事業本部 IMG第三事業部 IMG32事業推進センター所長 藤井賢一氏右が同 神谷泰次氏 CIO.com 転機となったのが2019年のラグビーワールドカップ日本大会だ。日産スタジアムに125台のカメラを設置し、決勝を含む6試合を撮影した。この時点では試合の1時間後にボリュメトリックビデオの映像ファイルを提供していたため、残念ながら中継では利用されなかった。しかし、ネット配信で公開された自由視点映像は大きな反響を呼んだ。 中継ですぐに配信されればもっと喜ばれるかもしれないーー目指したのは、放送で使用可能な時間である「3秒で生成」だ。そのために、アルゴリズム、ハードウェア、ソフトウェアなど多面的なアプローチで改善した。 「実は、技術的には”3秒で生成”は実現していました。ただし、自由視点映像にする効果的な試合シーンの選択、リプレイ視聴してもらいたいカメラアングルでの映像制作などに時間を要していたため、1時間後の映像ファイル提出となっていました。放送で使用可能になるために、3秒生成の基本を維持しつつ、高画質化、カメラアングル即時制作、中継とのワークフロー連携が必要でした」と神谷氏は詳細を説明する。 そうやって開発した現在のシステムは、エッジで3Dモデルの生成、そして3Dモデル化された映像データを土台にしたボリュメトリックビデオの生成処理を行う。高速な処理を実現する鍵は独自のハードウェア技術にある。カメラ近くに設置したハードウェアで前処理を行った後にデータをサーバーに送るが、AIを利用した3Dモデル生成に必要な一部の画像処理も行なっているという。ここは、クラウドで多数のサーバーで処理を行うアプローチとは大きく異なる点だ。 こうやって、放送可能なボリュメトリック映像を3秒で実現するに至った。「ボリュメトリックビデオは他社も手掛けているが、ここは我々の強み」と藤井氏は胸をはる。 エンタメから技術伝承まで広がる用途、将来は「ワンソース・マルチユース」を目指す ラグビーワールドカップで好評を得たことから、スポーツ用途ではNBA(National Basketball Association)が2021-2022シーズン、2022-2023シーズンで活用するなどのボリュメトリックビデオの事例が生まれている。スポーツ以外にも広がっており、能楽ではボリュメトリックビデオを使うことで役者の動きを立体的に見せる映像が仕上がった。 キヤノンは2020年、神奈川・川崎の事業所にボリュメトリックビデオの専用スタジオを用意した。撮影可能な範囲は8メートルx8メートル。それを、159台の専用カメラが囲む。バスケットなどのスポーツ、ミュージックビデオやファッションショーなどの撮影が行われている。コロナ禍では日本にいる空手の師範が海外の道場に型を配信するという新しい活用方法も生まれた。介護や寿司職人といった匠の技の伝承を目的とした撮影も増えているそうだ。新しいところでは、NHKの連続テレビ小説「あんぱん」のオープニング映像制作が行われた。 このように用途の広がりを感じているが、課題もある。現状で認知が高いとは言い難い技術をどう広げるか、そして起爆につながるキラーアプリケーションがまだ見えていないことだ。 藤井氏らはボリュメトリックビデオ撮影のための設備も課題にあげる。高品質な映像を実現するためには高性能なカメラを多数用意する必要がある。エッジでの処理のためにサーバーなどの機材も必要となり、操作をするオペレーターも配置しなければならない。そのような設備をスタジアムに設置・導入することは時間とコストがかかる。解決の道筋はこれからのようだ。 動画の時代、ボリュメトリックビデオをはじめとしたエッジコンピューティングにおける動画処理は増加が見込まれる。そして、この分野でもAIの影響は無視できない。 エッジITインフラを専門とするIDC Japan株式会社 Data & Analytics、 Enterprise Infrastructureリサーチマネージャーの下河邊雅行氏は、注目技術としてビジョンランゲージモデル(VLM)を挙げる。画像とテキストの両方を扱うAIモデルで、口語形式での映像の操作が可能になる。「VLMとボリュメトリックビデオの融合により、オペレーターの操作が飛躍的に容易になることが予想される」と話す。 ボリュメトリックビデオの認知度やキラーアプリケーションについては、「ラグビー、野球、バスケット以外の様々なスポーツで素晴らしい視聴体験をもたらすことができる。ボリュメトリックビデオを利用する側は「何ができるか」よりも「何がしたいか」の視点と熱い思いが重要。また、スポーツ団体以外のステークホルダーも巻き込んだマネタイズの仕組みづくりも必要だろう」と述べる。 なお、ボリュメトリックビデオはスポーツやエンタメなど既存の事例だけではなく、デジタルツイン環境におけるアバターなどビジネスでも活用の可能性は十分にあるという。「ボリュメトリックビデオが”ナイス・ツー・ハブ”(あればベター)から”マスト・ハブ”(なくてはならない)の技術になるためにはどうすればいいか、業界全体で取り組んでいく必要がある」(下河邊氏)。 キヤノンでは、次のステージとして「ワンソース・マルチユース」を定めている。「現在は配信する側が自由視点を操作するが、ユーザーが自由に操作できたらもっと楽しめるのではないか」と藤井氏。例えば野球であれば二塁手だけを追う、エンタメならグループの中の”推し”だけを見るといった楽しみ方が可能になる。そのためにはデータ容量の問題などの技術課題があり、目下パートナーとともに方法を探っているそうだ。 「視聴者が自由に映像を操作して見られる世界を実現したい。今までには味わえなかった体験を提供できれば、我々にとっても大きなマイルストーンになると考えています」(藤井氏)。 Read More from This Article: MLBも注目するボリュメトリックビデオ、新たな映像体験を開拓するキヤノン:スポーツ観戦から文化継承まで──3D映像が変える“体験のデジタル化” …