大規模なテック業界のレイオフが続き、企業のDEI(多様性・公平性・包括性)プログラムが縮小する中、女性は依然として厳しい状況に置かれている。WomenTech Network(WTN)のデータによれば、女性は世界の労働力全体の42%を占めるが、テック業界での割合は26〜28%、STEM労働者では25%にとどまる。1970年比では8ポイント改善しているものの、55年経っても男女同等には程遠い。
STEM職は2034年までに8%以上成長すると見込まれ、非STEM職の2.7%を大きく上回る。だが、機会が広がるものの、ジェンダーギャップは解消されていない。
学位取得から職場環境まで、5つの側面から女性が直面する課題の実態を見ていく。
1,上に行くほど、女性は消える
DEIへの公約を掲げながらも、大手テック企業での女性の割合は依然として低い。WTNのデータによれば、Amazonが45%と最も高く、Meta(37%)、Apple(35%)、Google(34%)、Microsoft(32%)と続く。しかしこの数字は役職が上がるほど下がっていく。女性の割合はエントリーレベルで最も高く、中間管理職、上級職と上がるにつれて減少する。
特にソフトウェアエンジニアリング職では格差が顕著だ。ジュニアおよびミドルレベルで女性の応募者は約25%少なく、ERPやUI/UXデザインなどの上位職ではさらに差が広がる。世界経済フォーラム(World Economic Forum)とLinkedInのデータでは、女性はSTEM管理職の約24%、Cレベル職のわずか12%を占めるに過ぎない。McKinseyのデータでは、過去1年間に管理職に昇進した女性は男性100人に対して93人、有色人種の女性に至っては74人だった。
2, 学位取得のギャップ
米国労働統計局(BLS)によれば、STEM職はこの30年で79%成長し、2030年までにさらに11%の増加が見込まれる。しかし全米科学財団によれば、学術レベルでもジェンダーギャップは続いている。コンピューターサイエンスと情報科学の学士号取得者に占める女性の割合は約21%、工学・工学技術は22%、経済学は35%、物理科学は39%だ。
有色人種になると、女性の格差はさらに大きくなる。コンピューターサイエンスの学士号取得者に占める黒人女性はわずか9%、ヒスパニック系女性はこれらの分野の修士号取得者の8%に過ぎない。女性エンジニア協会によれば、工学・コンピューターサイエンスの修士号を取得する女性は30%、博士号では24%にとどまる。
卒業後の状況はさらに厳しい。全米科学財団によれば、コンピューターサイエンスを専攻した女性のうち実際にその分野で働いているのは38%で、男性の53%を大きく下回る。卒業してもSTEM職に定着しにくい「パイプラインの漏れ」と呼ばれる現象が続いている。
3, 定着率の課題
Accentureのデータによれば、女性がテック業界を離れる割合は男性より45%高く、35歳までにテック業界を去る女性は50%に上る(他業界では20%)。
レイオフの影響も女性に不均衡に及んでいる。2022年に各社が断行した大規模テックレイオフでは、50社以上・約5000人のプロフィールを対象にしたWTNの調査で、解雇された従業員の69%以上が女性だった。女性はレイオフにあう確率が1.6倍高い。
職場でのマイクロアグレッション(日常的な小さな差別)も深刻だ。WTNのレポートでは、64%の女性が会議中に発言を遮られた経験を持つことがわかっている。19%がジェンダーステレオタイプによって役割を決められたと感じ、11%が業務外の「会議の食事準備」を頼まれた経験があると回答している。WTNはまた、テック系採用担当者の65%が採用における偏見を認め、女性の66%が社内での明確なキャリアアップの道筋がないと感じていることも明らかにしている。BLSのデータでは、テック業界における女性の平均在籍期間は3.1年。これは、男性の4.2年を下回る年数だ。
4, スポンサーシップとメンターシップの格差
キャリアアップ、特にリーダー職への道において、スポンサーシップは極めて重要だ。しかしMcKinseyの「2025年 Women in the Workplace」レポートによれば、女性がスポンサーを得られる機会は男性より少なく、スポンサーがいても昇進率は男性より15%低い。Cレベル職に占める女性は25%に過ぎないが、そのうち有色人種の女性はわずか5%だ。
上位層のリーダーが自分に似た人材を引き上げる傾向があるため、マイノリティグループにとってはメンターやスポンサーを見つけること自体が難しい。McKinseyによれば、上級職に就く女性の84%が昇進を望んでいるが(男性は92%)、実際にはすでに昇進の機会を見逃したと感じ、上を目指す現実的な道が見えないと答えている。こうした状況が続く限り、上位職に就く女性候補者は減り続け、格差の解消はさらに遠のく。
5,賃金格差
男女の賃金格差は依然として解消されていない。STEMにおける男性の平均年収は8万5000ドルに対し、女性は6万828ドルと約1万5000ドルの差がある。ラテン系および黒人女性に限ると5万2000ドルまで下がる。ラテン系女性の平均年収は白人男性の約半分であり、年収格差を埋めるには約2年分の追加労働が必要になる計算だ。
AIと女性——広がる新たな格差
Deloitteのデータによれば、AI分野でも女性は約4分の1の割合にとどまる。世界のAI研究者に占める女性はわずか12%、大学のAI研究者・教授職では約16%だ。
AI活用率はどうだろう。エントリー・ミドルレベルの女性のAI活用率は33%で、男性の44%を下回る。主な要因は倫理上の懸念と、AIスキルへの自信の低さだ(若い女性の56%が低い自信を報告、男性は74%)。一方、ポジティブな傾向として、上級職の女性はAIの活用スピードが男性より最大16%速い。
Deloitteはまた、AIに対する信頼度にも男女差があることを示している。AIが生産性を高めると答えた女性は41%で、男性の61%を大きく下回る。使い慣れるにつれて信頼度は上がるが、初期の信頼度は男性より低い。AIを試している女性のうち高い信頼度を示した割合は18%にとどまり、男性の31%とは大きな開きがある。
さらに深刻なデータがある。WEFとLinkedInによると、女性はAIによって「補強」されるよりも「代替・混乱」される職種に就いている割合が高い。米国では男性の24%がAIで補強される職種に就いているのに対し、女性は20%。AIによって混乱を受ける職種には女性が34%、男性が25%と、ここでも格差が表れている。
このように、完全なジェンダー平等の実現はいまだ遠く、AIの台頭がその道をさらに複雑にしている。
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